『最初は「ゲ！」と思うだろうが・・・』
話の質は大変深い。こんなに意義深い作品だとは思わなかった。それはあまりににもパッと見、残酷なシーンが多いからだ。誰もが第一印象はあまり宜しくないだろう。しかし・・・ちょっと見てみると・・・「オ、オ、オ・・・」と話に引き込まれていく。言ってみれば、あの残虐シーンはバランスを取るためというか、極限状態に身を置くとその人の本質が現れるといいます。極限状態では何もかもが露になるといいます。真理を見極める良い方法・・・イザと言う時にその人の本性が現われるように・・・です。この北斗の拳の舞台は正に世紀末。戦乱の世です。そこで描かれる人々の生き様。人々が安心して暮らすためには平和・秩序が必要。それを達成するためには力がいる。その力をラオウなどは「究極の力（のみ）」で達成しようとする。その力の根源とは・・・「愛などいらぬ。」とラオウは言う。これに対してケンシロウは・・・この作品には人が何故何のために生きるのかが上手く描かれてあります。とにかく、この作品は奥が深い。しかも歴史に対する洞察がかなり深い。日本や中国などの歴史が下書きにしてあるらしく、特に後半の「修羅の国」などは日本と中国（大陸）との関係とダブります。ケンシロウが修羅の国出身で、そこから海を渡って北斗真剣を学ぶに来る。そして再び故郷へ戻り・・・そこで新たな挑戦が始まる。それぞれがそれぞれの宿命を背負って生きていくことの意味など、人が生きる上で不可欠な深い深い「何か」がこの作品にはふんだんに盛り込まれていると思う。