この全15冊を書棚にそろえただけで、自分もケンシロウのように強くなった気になってしまう、そんなハードカバー全15巻の『北斗の拳・愛蔵版セット』が登場した。ケンシロウのイラストつき箱入りの豪華本は、そのまま飾っておくだけでも迫力がある。 子どものころ、「おまえはもう、死んでいる」「ひでぶっ」などの名セリフとともに、友人とケンシロウのまねをして遊んでいた人にはもちろん、なんとなく知っていたけれど通読していない、という人にもおすすめ。 とにかくケンシロウは強い。女、子ども、老人など、弱いものを暴力で支配しようとするやからを、最強の暗殺拳「北斗神拳」でぶっ飛ばす。「悪」には一片の情も与えず問答無用でぶっ飛ばすその姿が、気分爽快なのだ。胸がスカッとするその強さは、その勢いだけで全15巻を一気に読ませてくれる。 大人になった今読めば、あのころには気づかなかったケンシロウの抱えている哀しみに思いをはせたり、子ども時代とはまた違う感慨もわいてくる。(長田正史)